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人間最後の日

すぐそこにある


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足田代

Author:足田代
誰にも言うなよ!


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下のカテゴリーは古い順に並んでいます。 最初から読みたいときにどうぞ。


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ロト6で得をした男

ロト6を買っている店が、あまりにも当たらないので店を変えることにした。

いつもは近くのドラッグストアで買っていたのだが、まったく当たらないからだ。

あれほど研究を重ねたにも関わらず1000円すら当たらない。これは店が悪いのだろう。

休みの日にジャスコへゆく用事があったので、その敷地内にある専門店で買うことにした。

キャンピングカーみたいな箱型の小さな建物の中に、女性の店員が一人で売っている。

私はそこにある購入カードに、例の十分に検討した番号を塗りつぶしてゆく。



そのカードと引き換えにまた新しいくじが発行された。5回分2口で2000円である。

その時ついでに持っていた外れくじを店員に渡したのだが、そちらが先に帰ってきた。

機械に入れると、当たりがわかる仕組みになっているらしい。

間違って捨ててしまう可能性があるので、必ず確かめたほうがいいと500円貯金の彼に聞いていたのだ。

戻ってきたはずれ券と、レシートには0円と印刷されていた。うん、確かにはずれだった。

そしてやってきたのは新しい宝くじ。億万長者になるための切符である。

「よかったらこれもどうぞ・・・」

そう言って彼女が差し出したのはボールペンだった。




ロト6のおまけ1

(ロト6オリジナルだ)


私が今まで買っていた店ではこんなものくれなかった。すごいサービスの違いである。

これだけサービスされては、今度からはこの店で買おうと思いたくなる。



次の日、会社へ行って500円の彼にその話をした。

「おれなんかいつもそこで買ってますから、いろいろもらいましたよ」

「じゃあ、ボールペンもたくさんもらっただろう?」

「ボールペンだけじゃなくて、いろんなものをくれるんですよ。ハンカチとか・・・」

なんということだ。私が知らない間に、彼はたくさんの商品をもらっていた。

毎回外れるにしても、いろんなグッズをもらえるのはいいではないか。私はそのハンカチというのがどうしても気になっていた、

「ハンカチはいいなあ」

「でも、ロト6の絵が描いてあるやつですよ。いりませんよ!」

「だったら今度持ってきてくれ」



ロト6のおまけ2

(端っこがギザギザ)

私が彼にもらったハンカチというのは、ちょっと普通のものとは違っていた。

ハンカチというよりも、なにかの敷物のようである。しかも数字がやたらと並んでいる。

どうやらこれを使って番号を決めてくれと言っているらしい。しかし、いったいどうやって・・・。



・・・!!



先にもらったボールペンを使えば、ダーツ方式で番号を選べるのではないか。

素晴らしいことに気づいた私は、さっそく挑戦してみることにした。

しかし、ボールペンを投げても刺さるどころか、先っぽが折れてしまうだけである。なにかいい方法はないものか・・・。

そうだ、上からボールペンを落として、その先が示した番号を買えばいいのだ。これなら簡単に出来そうだぞ。

番号が書かれた敷物をテーブルに置いて、上からボールペンを落とす。緊張の一瞬だ!




ロト6のおまけたち


ボールペンの先は、今回も外れてしまうことを暗示していた。

2016/09/01 09:00|二期TB:0CM:0

偽装された手相占いの結末

職場の休憩室で、新人君が本を読んでいる。

新人といっても、もう30を過ぎた独身男性である。

その様子は、何か悩んでいるようだった。

心配だったので近寄ってみると、自分の手と本を見比べている。

本には、性格診断みたいなものが書かれていた。

ひとつの質問の後、YesかNoに分かれる矢印がついていて、それにしたがって次のマスに進み、また質問にYesかNoを答える。

これを繰り返してたどり着いた先に、「あなたの性格は・・・」という昔からあるやつだ。



「何を悩んでるんだ」と聞くと、

「手相がわからないんですよ」と答える。

「手相ならおれが見てやるよ」

「それが・・・、見えないんですよ」


(何を言っているのだ。こいつは)



「どれ、見せてみろ」


性格診断の本を見ると、スタートのマスに手相が書いてある。


「あなたの頭脳線は上にありますか、それとも下にありますか」という質問だった。

新人君は手のひらを私に見せた。

私は本に書いてある図とその手のひらを見比べた。・・・何度も。



ない!




この男には頭脳線がないのだ!!




「でしょ」新人君が同情を促す。


新人君はメガネをかけている。

メガネをかけている人間は頭がいいものだと、私はずっと信じていた。

そんな馬鹿な筈はない。

私は新人君の手をとり、手を少し握らせた。



「ほら、これでいいだろう」


うっすらとできたしわを頭脳線に見立てて、矢印をたどると今度は結婚線だ。



ない!



この男には結婚線もない。





「お前はアホの坂田か!!」


と、思いっきりつっこんでやったら、さすがにしょぼんとしている。


「~よいとせーのこらせ♪」 を期待したのが間違いだった。


かわいそうだから、仕方なくまた結婚線を作ってやった。




そうして、やっとたどり着いた先にあった答えは、

「まあ、いいとこもあるけど、悪いとこもあるから気をつけなさいよ」みたいな言葉。


苦労して、無理やりこじつけて、やっとたどり着いたのに・・・。

休憩時間はそれで終わった。
2016/09/11 09:00|二期TB:0CM:0

届かないFAX (技術の進歩は人を動かす)

我が家の電話機は、数年前に購入した、当時最新鋭のFAXつき電話である。

以前のFAXは感熱紙を利用しているものが多かった。

しかし、我が家のそれは普通紙が使えるものだ。当時最新鋭の・・・。

購入当時は、すごいものを購入したと喜んでいたが、そのFAX機能を使うことがなかった。

別に使う用事がないからだ。

仕方がないので、わざわざゴルフショップの会員登録でFAXを希望したりして喜んでいた。



でも、それが毎月紙の補給の催促となると、ちょっと話が違ってくる。

さらにインクがなくなって「インク交換」の催促までくると、もう嫌になる。

機械に使われているような気分になるからだ。



いい加減頭にきて、私はゴルフショップの会員FAXを中止した。

それでもたまに電話に出ると、

「ぴー、がらがら。ぴーぴーがらがら」

またFAXがきやがった。もう嫌だ。

こんな電話機買わなきゃよかった。



FAX付きの電話機はプリンターがついている分だけ、その形は大きくなる。

置き場所にも困ったのだが、それ以上に「電話機を置く台」を置く場所がないという事情もあった。

テレビの隣のわずかなスペースに、それは設置された。

ちょうど今私がパソコンをいじりながら座っている真後ろだ。

FAXが届くと、当然だが紙が出てくる。




その紙がちょうど私の後頭部を直撃する。


もう許さん!私は紙の供給をやめた。


お前の事などもう相手にしてやるものか。電話機がFAXだなんて生意気だ。



その後も時々「ぴーがらがら・・・」の電話がたまに来る。

誰からなのか知らないが、我が家には白ヤギさんと化した男がいるから、全ては謎のままになっている。

黙っていれば家族も気づいていない。

FAXだけが一人で空回りしている姿を想像してほしい。

かわいそうだと思う人もいるだろう。しかし、同情してはいけない。




そこがやつらの狙いなのだ。


やれ紙を補給しろ、インクを換えろ。紙がないから買って来い、インクも買って来い。

字が読みづらいから洗浄しろ、なんてことまで命令されるのだ。

ずいぶんと便利な世の中になったようだが、我々人間が機械に使われているという現実を忘れてはいけない。

知らず知らずのうちに、関係が逆転しているという機械は、私たちの周りにたくさんある。



最後には「故障したから店に持って行け」と命令され、店に行けば「新しいものを買ったほうが・・・」となる。

便利だからといって、使いもしない機能まで付加されるのも考え物である。

少し前に流行った携帯電話にも同じことが言えるのではないかと思っている。



ワンセグとは何者か?


セグシャル・ハラスメント?それも一人で・・・。


折れ方も複雑怪奇。ぐるっと回って、裏返しならまだいい。

ああして、こうして・・・、ひねりが入って、また回る。




ア、アクロバット体操かっ!!



私の携帯にも一応それがついているのだが、まったく見ない。

一度サッカーを見てみたら、その小さいこと、選手などまったくわからないのだ。

こんな機能が付いているがために値段が高いのなら、いっそ外してくれと言いたくなる。

そのうちに、このワンセグから「○○が始まるよ」なんて催促される気すらしてくる。



誰も気づいてないかも知れないが、バッテリーの残量マークからすでに始まっていたのだ。

やつらの陰謀は・・・。
2016/09/17 08:50|二期TB:0CM:0

発明の代償~ロデオボーイ

先日の健康診断の結果を受けて、私は毎日の運動を心がけるようにしていた。

それは一台の運動マシーンを使ってやっていたのだが、少し物足りない気持ちもあった。

ロデオボーイというマシーンは太ももや腹筋を鍛えるのには有効である。

しかし、それでは上半身を鍛えることができない。

実は昨年の暮れに買ったゲーム機の「ういー」というのもあるのだが、こちらは上半身を鍛えることができる。

なんとか一緒にならないだろうか・・・。



そんなときに私にいいアイデアが浮かんだ。

ロデオボーイをやりながら「ういースポーツ」をやればいいのだと・・・。

スポーツは野球やテニス、ゴルフにボクシングと豊富である。きっとなにかマッチするものがあるはずだ。

さっそくマシンにまたがって、スイッチを入れる。

マシンを横に向けた状態での野球が始まった。

小刻みな揺れがあるために操作はちょっと難しいが、なんとか野球ができているぞ。

不安定な下半身のまま、振り切ったバットは球をはじき返し大きく飛んでいった。ホームランだ!

これでも十分試合になるぞ。私はその後のピッチングも無難にこなして勝利をもぎとった。

いやあ、しかし腿の筋肉が痛い。長い時間やりすぎたようだ。



少し休んだあとは、テニスにチャレンジだ。

今度はマシンを正面に向けて、スイッチー、オンッ!

激しい動きにも関わらず、何とか試合が出来ているではないか。こりゃあいい。

それ、リターンエースだ。見事なバックボレーもピタリと決まる。

なんとテニスでもコンピューターに勝利することができたのだ。

私の素晴らしいアイデアは見事に成功を収めた。これぞ最高の運動マシーンだ。

この組み合わせを作って売り出せば絶対儲かるに違いない。やはり私は天才発明王だ!

全身から汗を流してビショビショになりながらも、私には達成感があった。

かなりの運動で筋肉がパンパンになってしまった。これはかなりの運動である。



こんなあとには風呂に使って汗を流すに限る。

風呂上りのアイスコーヒーもいいなあ。特に今日は気分がいいからジョッキで飲もうか。

そんなことを考えつつ浴槽に浸かった。


・・・!


その瞬間、尻がヒリヒリしてくるのを感じた。

この痛みは何だろう?そっと指を這わせて痛みの元を探ってみた。

どうやら尻の割れ目の部分が痛いようだ。



風呂を上がってから、その部分をまるしーに見てもらった。

「お父さん、お尻から血が出てるよ!」

私が広げた尻たぶから血が流れてるという。どおりで痛かったわけである。

「真っ赤になってすりむけてるよ」

夢中になっていたので気づかなかったのだ。これは迂闊だった・・・。

ヒリヒリするその部分にオ○ナイン軟膏を塗ってもらったが、すぐには治らないだろう。



まさか医者へ行ってもいられない。


「どうされましたか?」


などと聞かれては困るからだ。


「実はロデオボーイで・・・」


と、私が発明したアイデアを軽々しくもらしたくはない。いや、その前に笑われてしまう。


その部分に出来たすりむけの原因を、医者や看護婦はどう想像するだろうか?

2016/09/20 09:00|二期TB:0CM:0

家庭教師ファックスの陰謀

私の下の子供が、この春に進学のために受験することになった。

制服や通学に使う定期、バッグなど、いろいろとお金がかかる時期だ。

そんな中でも、まだお金を使わせようとたくらんでいる連中が世の中には大勢いる。



夕方、我が家の電話が鳴った。

私が家にいるときは、必ず電話を受ける係りになっていた。

なにせ、私の真後ろにあのFAX電話が存在するからだ。



「こちらは○○と申します。○○さんの親御さんでしょうか?」

これは間違いなくセールス口調だ。しかも子供の名前を言ってきている。

「私どもは、家庭教師のご紹介をさせていただいております・・・」

黙っていればいつまでも話している。

「うちは必要ありませんから」

私ははっきりと断った。

「わかりました。では資料だけでもそちらに送らせていただきますので・・・」

私はハッとした。なんでこいつは子供の住所を知っているのか?

「うちの住所、どこで調べましたか」

私が怒り口調でそう言うと、相手は「担当を代わります」と言った。

その後で出てきたやつが適当なことを言っていたので、頭にきて「もう電話するな!」と怒ってやった。




私が電話を切った後、後ろで見ていた妻が拍手した。

私は心の中で大きくガッツポーズをした。功績が認められたのだ。

しかし、表情は変えずにクールを装った。カッコいいからだ。

「これでもう電話してこないさ」

素晴らしい決めゼリフだ。妻も感謝してくれた。




しかし、その次の日も電話は来た。

今度は違う家庭教師だ。私は最初から怒りをまくし立て、すぐに電話を切った。

そして、拍手喝采を浴びるべく後ろを振り返った。




が、そこには誰もいなかった。

受話器を置いた後に気づいたのだが、このFAX電話には小さな液晶があり、そこにメッセージが表示されていた。




「FAX9件受信」

これはまずい、内緒にしていたお仕置きがバレてしまうではないか。

私はその電源コードを引っこ抜いた。よし。

そして、頭の中で祈りながらコードを差し込んだ。

「ぴー、ういーんがっちゃん、ういーんがっちゃん・・・」

FAXはロボットみたいな音を出し始めた。これはでかい音だ。





「あんた、なにやってんの!」

なんと妻が音に気づいて見に来たのだ。

「いや、ちょっと間違っただけ・・・」

私の行動を不思議そうに睨みながら、「あっ、そう」とだけ言い残してキッチンへ戻っていった。

危なかった。

私はその後でこっそりと一件ずつ受信履歴を消していった。




これはきっとFAXの復習に違いない。

私が与えた、「紙補給停止」「インク交換せず」のお仕置きへの復習なのだ。

FAX本体と受話器を結ぶクルクルコードが、私を馬鹿にしているようにさえ見えてくではないか。

いっそのこと電話線を引き抜いてやりたいくらいだ。




先日PTAの寄り合いがあり、そこで例の勧誘電話について話してみた。

すると、みんなの家にかかってきているらしいのだ。一体どこで調べてくるのだろう。

名簿が売られているのだという話まで聞いた。まったく恐ろしい世の中だ。

そして、ある人が「うちにはFAXまで来たよ」と言った。




その言葉を聞いてピンときた。

家庭教師とFAXがグルになって私を苦しめていることに気づいたのだった。

やつらの陰謀に対抗すべく、私はFAXの取り扱い説明書を読もうとした。

しかし、その行動を起こす前に私の気力は削ぎとられてしまった。

説明書のあまりの分厚さに・・・。




今後送られてくるであろう家庭教師からのパンフレット。それにFAX電話の取り扱い説明書。

情報という名の活字の群れが、私をおとしいれようと待っているのだ。

読み落としたら責任を負わされるような罠を用意して・・・。

2016/09/24 09:00|二期TB:0CM:0

それでも腰を振り続ける男


先日のロデオボーイとうぃーのあわせ技で尻を痛めた私だったが、その後も運動は続けていた。

生活習慣を変えないと血液などの異常は治りにくいと思ったからだ。

食事だけでも治せるのかもしれないが、私自身も運動不足を感じていたからちょうどいい。

尻たぶに負荷がかかると悪いので、今度は状態を少し前に持ってゆき姿勢を正すことにした。

それ以来ずっと順調に続けていた。



ところが今度は腰が痛くなってきた。少し前にぎっくり腰をやったところが痛むのだ。

ぎっくり腰も運動不足が原因だと思っていたのに、これは逆効果だったのだろうか。

今までは何事もなくやってきたのに、なぜ急に痛み始めたのか?

私は前日のロデオボーイのプレイを思い出してみた・・・。



いつものように優れものマシンにまたがった私は、うぃーの野球を始めた。

コントローラーをバットに見立てて、コンピューターのピッチャーが投げる球を打つ。

このゲームに慣れてきた私は、相手投手が疲れてくるとすっぽ抜けの球を投げることを知った。

だからなるべく相手に球数を投げさせるようにじっくりと球を見てゆく。

すると、思うように点が入る。今までにはなかったフォアボールでランナーを貯めておいて一気にホームラン。

新しい攻撃パターンの確立だ。これなら楽勝だろう。

そう思っていたのだが、実はコンピューターの方もレベルが上がって強くなってきていた。

私が投げる変化球もことごとく見破って、打つは打つは・・・。あっという間に逆転を許してしまった。

その次の回もお互いに打ち合い、試合は乱打戦となった。

試合の途中でロデオボーイも止まってしまった。タイマーが作動したのだろう。

もう一度スイッチを入れてさらに続けたのがいけなかったのか・・・。



腰が痛いのはまだ鍛え方が足りないからだろう。

そう思った私は、その後一日だけ休んで、また運動を続けることにした。

今日もまたカーテンを閉めた部屋で、腰に温シップを貼りながら揺れ続ける私がいる。

たまたま部屋を通りがかった父が、その姿を見て驚いて立ち止まったが何も言わずに去っていった。

何かイケナイものでも見てしまったと思っているのだろうか・・・。
2016/09/28 09:06|二期TB:0CM:0

静かなる反抗

(*この記事は過去に書いたもので、現在は喫煙していません)


ショッピングセンターでタバコを吸うために、わざわざトイレの脇の喫煙室まで出かけることになった。

迷子になりそうなくらい大きいところなのに、喫煙できる場所はそこの一角に限られていた。


喫煙室

(すごく狭い)

テーブルのような場所は空気清浄機となっていて、その四隅に灰皿が埋め込まれている。

この部屋にはせいぜい4人くらいしか入れないだろう。

この隔離されたような部屋の扉は、女子トイレから出てくる通路に面していた。

当然窓も付いてはいるのだが、女子トイレの行き帰りの人には必ず目が合ってしまう。

外から見た喫煙者は、まるで檻に入れられた囚人のようだ。

一応ジュースの自動販売機はあるのだが、座ってくつろぐようなイスもない。

こんなところに長くはいられないように作ってあるみたいだ。




家族で食事を済ませた後、私はまたしてもタバコが吸いたくなってきた。

トイレの分かれ道から女子トイレの方へ少し行くと、例の窓から中が見えた。

先客は3人のギャルだった。彼女たちは目の周りを黒と青で縁取りしている。

テーブルの上にはきらびやかな飾りをジャラジャラとつけた携帯電話が並んでいる。

今流行のなんとかギャルだろうか・・・。

4人程度で満員の喫煙室にすでに3人が入って楽しそうに会話をしている。

私にはこの中に入っていく勇気がなかった。

しかし、若い彼女たちの会話の内容は聞いてみたかった。

それはぜひとも聞いてみたかったのだ。




私の頭の中は、空気清浄機となって、喫煙室の中でタバコの煙を吸っていた。



「ねえ、あんたの彼氏、絶対やばいでしょ!」

黄色い服を着たギャルがストラップのひもをいじりながら言った。

「マジやばいんすけどぉー。どおしよっかなぁ」

大き目のピアスを両耳にぶら下げたギャルは、そう言って2本目のタバコに火をつけた。

「元彼の方はやくざとつるんでるって言うしねぇ・・・、ねえ、聞いてるぅ?」

ちょっぴり太った色白ギャルは缶ジュースを飲んでいた。

「う、うん。」

「って、聞いてないしぃー。ぎゃははは」

笑った拍子に、灰がこぼれる。灰皿ではなく、空気清浄機の命ともいえる排気ファンの真上にだ。

黄色の彼女は、こぼれた灰を拾おうともせず話し続ける。

「そんで、今どこいったのぉ、彼?」

「それが教えてくんないんだぁ。メールだけなの・・・」

ピアスの彼女は寂しそうな顔を見せる。



「でも、連絡取れるだけいいじゃない、無事だってことだしぃ」

黄色のやつはまたしても灰をこぼした。いくら機械の私でも、これは頭にくる。

喫煙者のマナーがなっていないではないか。こういう人がいるから喫煙者は肩身が狭くなってゆくのだぞ!

私に出来る精一杯の怒りの表現、自動モードの出力がアップされた。

ファンモーターの回転数が上がる。



うぃぃぃーん・・・。



残念ながら、最近の空気清浄機は静音設計となっている。彼女たちに私の怒りは通じなかった。

「もう、アイツのことは忘れようと思ってんのぉ」

ピアスの彼女がテーブルの四隅にある灰皿にタバコを落とした。ジュッ、という音とともにタバコの火は消える。

中には水が張られているので火災の心配も無い。

「うん、そのほうがいいかも。他にもいい男いっぱいいるしぃ」

「あっ、もうこんな時間。ねえ、あれ見に行こうよ!」

そういうと、彼女たちはタバコを灰皿に投げ入れた。

「やべ、残っちゃった。どおしよう・・・」

色白の太った彼女は、残ったジュースを持った手を軽く振りながら迷っていた。

「いいじゃん、そこに捨てちゃえば!」

黄色の彼女は私の灰皿を指差した。

ジョボジョボと残りのジュースが灰皿に注がれてゆく。私の怒りは頂点に達した。



ファンモーターの回転数はMAXまで跳ね上がる!!



うぃうぃうぃぃぃーーーーん!!


静音設計な私の想いは、彼女たちの笑い声にかき消されるだけだった。
2016/09/30 09:00|二期TB:0CM:0

神様の贈り物 (あかいろ号)


会社の駐車場から職場へ行くまでの間、かなり距離があるので自転車を使っている。

天気のいい日は良いのだが、雨や雪になると徒歩よりもひどいときがある。

傘をさしての運転は危険なので、合羽を着なければならない。

夏場などは着るだけで汗をかくから、何のための合羽かわからない。

最近は雪が多いので、合羽を着なくてもいいのだが、雪解けの水がやたらにズボンにかかるのだ。

それもなぜか右足の方にばかりかかるように思える。




昨年の秋ごろに、私の愛自転車の「みずいろ号」はオシャカになってしまった。

「タイヤの空気がすぐになくなってしまう」という難病に犯されていたので、そんなに長くはないと思ってはいた。

しかし、それが現実になると大変だ。自転車で来る距離を歩くとなると、通常より十分は時間がかかる。

その分早起きが必要になるので、寝起きの悪い私には精神的な苦痛が伴うのだ。



しかし、神様はそんな私を見捨てなかった。

駐輪場に一台だけ、私のために代わりの自転車をプレゼントしてくださったのだ。

ちょっと古くサビ付いていたが、空気を入れなおしたら、まるで私を待っていたかのように、軽快に動き出した。



断っておくが、私は盗んだのではない。


放置自転車を借りているだけである。神様の許可を得て・・・。





その自転車は「あかいろ号」と名づけられたが、実際にはサビ色をしていた。

あまりにもズボンの裾が汚れるので、気になって調べてみた。




自転車

(クリックすると拡大するらしい)

そうだ、泥除けがボロボロになっていて役に立たないのだ。

さすがの私の長靴もここまで長くはなかった。

でも、そんなことでめげてはいられない、この私にはすばらしい運転技術がある。

秘技「両足上げ運転」、「水溜りよけ走行」などのウルトラCを駆使して、汚れのほとんどを回避することが出来るからだ。

しかし、そんな高等な運転テクニックを持ってしても、太刀打ちできない致命的な持病が「あかいろ号」にはあった。



ブレーキが効かないのだ、わずかしか・・・。しかも「んぎゃあ」と叫ぶ。



時々、ぶつかりそうになりドキリとすることもある。

しかし、神からの授かりものをそう簡単に粗末にはできない。

私の目の黒いうちは、「あかいろ号」を放置などさせてなるものか。

ハンドルも少々変形しているが、これも慣れてくればかわいいものである。

あんまりかわいいので、私の名前を書いたシールを貼ってあげた。「あかいろ号」も心なしか喜んでいるように見える。

これで晴れて私と一心同体になれたのだ。



放置され続けた日々から比べたら、なんと有意義な毎日を過ごしていることだろう。

私はいつかこの「あかいろ号」が、きれいなおねいさんになって恩返しにくるのではないかと思っている。
2016/10/08 09:00|二期TB:0CM:0

神様の贈り物2 (あかいろ号のその後)


「あかいろ号」の話は知っているだろうか。

以前の記事、「神様の贈り物」で登場した、私が通勤に利用している自転車だ。

現在もまだバリバリに活躍しているのだが、さすがに老朽化が進んできた。

ブレーキが効かないのはそのままだが、最近ではいろんな部品がポロポロと落ちてゆくのだ。

後輪のカバーに取り付けられた反射板もいつの間にかなくなってしまった。

それに追い討ちをかけるように、自転車の醍醐味であるチリンチリンまで無くなってしまったのだ。



あかいろ号 001


(画面右側にあったのだ)

子供の頃から、新しい自転車に乗るとまず一番最初に触れる部分、それがチリンチリンだ。

あれは自転車にとって一番重要な部分である。

自分が運転しているときに、その存在を周囲に知らしめる絶好の武器だからだ。

危険を感じたときに鳴らすのもいい。友達に合図を送るために使ってもいい。

何かと便利なこの機能がもう使えなくなってしまった。



ハンドルのサビは仕方ない。私と出会ったときからのものだ。

ブレーキが効かない原因も解明された。

前輪のブレーキは常に効いている状態になっていた。

乗っているとスースーと音がするので、見るとブレーキのゴムが金属の円周に触れている。

指で動かそうしたが、頑固なまでに動こうとしない。戻ることもない。

かろうじて後輪のブレーキだけが「んぎゃあ」と音をたてる程度だ。

それでもまだ必死に私とともに風を切って走る。その根性には惚れ惚れするくらいだ。

でも、買い物に行った時にはついつい自転車コーナーを見てしまう。


新品


(キラキラと輝いている)

1万円そこそこで、新品が買える時代になったのだ。

それでも私は買おうとはしない。古い自転車にはそれなりのいいところがあるからだ。



少しくらい壊れても全然気にならない。



盗まれるという心配がない。


以上。




最近になって、若い後輩たちが私を真似て自転車を使い始めた。

確かに駐車場から職場までの距離は遠いのだ。歩くだけでも疲れるのだろう。

私とあかいろ号がさっそうと通勤している姿を目にして、あこがれのようなものを抱いていたに違いない。

彼らの目にはきっと正義のヒーローに見えていたのかもしれない。

しかし、彼らの自転車は新品だ。しかも折りたたみ式のものや、マウンテンタイプだ。

いずれもピカピカと光り輝いて、あかいろ号より目立っているではないか!

流行なのだろうか、タイヤのサイズは20インチ程度、あかいろ号の26インチに比べたら子供みたいなもんだ。

彼らのペダルをこぐ姿は見ていても滑稽に感じる。タイヤが小さい分、余計に回さないといけないからだ。

お猿の一輪車みたいな感じだ。

その格好を見てあまりにもかわいそうに思った私は、

「あかいろ号と交換してやろうか」と言ったのだが、彼らは即座に断ってきた。

彼らに自転車のよさなどわかってたまるものか。



彼らの新品お猿号が、いつしかボロボロになったときに初めてわかるのだろう。

あかいろ号の根性の素晴らしさが・・・。

もっとも、その頃にはもうあかいろ号はいなくなっているかもしれない。

その姿をきれいなおねいさんに変えて、私の元へ恩返しに来ているはずだからだ。
2016/10/21 09:00|二期TB:0CM:0

モモヒキも飛んでゆく

500円貯金の彼がモモヒキをはいているというので見せてもらった。

ユニク○で買ったという黒いモモヒキは、結構おしゃれな感じだったのだ。

今は若い人たちでも履いているのだと思うと、長年我慢してきた自分が恥ずかしくなってきた。

なんでも「ヒートテック」とかいうやつで、とても暖かいやつらしい。

「じゃあ、おれも買ってくるよ」

うらやましくなった私がそういうと、彼は残念そうな顔をする。

「それが大人気で売り切れなんですよ」

彼ももう一着買おうと思っていたらしい。

「ユニク○じゃなくても、その辺で売ってるだろう」

私は庶民の見方、「ファッションセンターしま○ら」へ向かった。



その店でもいろんなタイプのモモヒキが売られていたが、私が選んだのはグレーの渋い色だった。

500円貯金の彼が買ったのは一枚1500円だったというが、こいつは二枚で990円だ。

私は迷うことなく二枚入りのやつを購入する。



今まで使用したことがなかったので違和感が感じられるが、履いてみるとすごく温かい。

こんなことならもっと早く履くんだった。カッコをつけるために寒い思いをしていた自分が恥ずかしくなってくる。

こんな素晴らしい商品は、ぜひみんなに着用してもらいたい。

特に若い人には積極的にお願いしたい。そうすることによって、モモヒキ文化が生まれるからだ。



ズボンの代わりにモモヒキを履いて、ファッションショーに出演するモデルさん。

スカートの下に、わざと見せるためにカラフルなモモヒキを履く女子高生たち・・・。

モモヒキは見せるファッションにまで昇格してしまうからすごいじゃないか!

その頃には私が熱望するピンク色のモモヒキも登場することだろう。

町にはモモヒキ専門ショップが出来て、リサイクルショップでは中古のモモヒキがビンテージものとして高値がつく。



やがて、風俗にもモモヒキ喫茶やモモヒキしゃぶしゃぶが登場する・・・。



「いらっしゃいませご主人様ぁ~」

ピンクのモモヒキを履いた若い女の子がメニューを持って注文をとりに来る。

メニューには普通の喫茶店並のメニューが並ぶのだが、その値段には驚きだ。コーヒー一杯が2000円もする。

その名もなんと「モモヒキコーヒー」!

「粗引きコーヒーとかなら聞いたことがあるが、なんだこりゃ?」

「やだぁ、お客さん。知ってるくせにぃー!」

彼女は人差し指を頬に当てながら笑っている。その姿があまりにもかわいいので思わず「モモヒキコーヒー」を注文する。



「お待たせしました、ご主人様ぁ~」

彼女が持ってきたのはどう見たって普通のコーヒーだ。

しかし、テーブルにコーヒーを置いたとたん、彼女は両手を招き猫のように上げてポーズをとる。

「さあ、モモヒキタイムのはっじまりぃ~!」

そういうと彼女は、両手の親指をモモヒキに突っ込んでジワジワと下げてゆく。

ゆっくりと片方ずつ、じらすかのように腰を振りながら・・・。


おお、てっしゅぷりーず!!


あぁ、こんな素敵な人生があっていいのだろうか。

私もあなたもみんなモモヒキ。さあ、手をつなごう。

そして歌おう一緒に。曲はあの名曲「エル・コンドル・パサー」、歌っているのはもちろん、サイモンとガーファンクル。



~ふふんふんふんふんふんふんふんふんふんふーん、ふふふーん♪ (雰囲気を出すためわざとイントロ)



女の子が下げたモモヒキの下から出てきたのは、なんと花柄のモモヒキではないか!!


黒地に赤や黄色のカラフルな花が咲き乱れ、私を甘美な世界へと誘っている。


彼女はモモヒキを履いたまま宙に浮き、モモヒキの妖精となって私に微笑みかける。


興奮の極致に達した私は、背中に違和感を覚えて思わず席を立った。


メキメキという音ともにシャツを破って大きな羽が背中から生えてくる。


それは意識を集中すると羽ばたいて、私の身体も宙に浮いて彼女の後を追う準備が整った。


暗闇の世界から、光を求めて私の身体は飛び立った。


イカロスよ再び。


2016/11/08 09:00|二期TB:0CM:0

一円パチンコじじい


最近、「一円パチンコ」なる店が増えている。

通常一発4円で購入して遊ぶ玉を、一円で、つまり1/4の料金で遊べるというわけだ。

少ない小遣いでも遊びに行けるので、店はお年寄りから主婦、サラリーマンまで幅広い層の人間が集まる。

店もそれなりに繁盛しているようだ。

でも、変な気がする。

店の売り上げが1/4になっているということだ。

これではいくら客が増えても、今までのような売り上げを期待することは難しいのではないだろうか。

換金率も確かに悪いかもしれないが、売り上げの違いのほうが大きいと思う。




私もその店へ遊びに行くのだが、実に少ない金額で遊べることに驚いた。千円か二千円で半日以上遊べたからだ。

そしてもっと驚いたのが、午後3時に突然、「アンパンマンのテーマ」が流れ、全員にケーキをプレゼントしていたことだ。

これはサービスが良すぎるぞ。こんなんで店は儲かるのか?

いつしか私は店の心配までし始めた。

こんなことやってたらすぐに潰れちゃうぞ。

ところが店は潰れるどころか大繁盛。地域一番の客入りだ。




客層はといえば、どちらかというとお年寄りが多い感じ。いわゆる団塊の世代の定年後である。

少ない年金で生活する人たちにとって、一円パチンコは、新しい社交の場となっているのだろう。

そんな中に混じって私のような貧乏な男がちらほら。負けてもたいした額じゃないから気楽なものだ。

たまに勝つこともあるのだが、そのときほど一円パチンコのすごさを身にしみて感じる。




一日いて200円勝った。



そういう計算も実は大きな落とし穴があった。途中でのどが渇いて缶コーヒーを二本も飲んでいるのだ。

よく考えてみると財布の中身は確実に減っている。そうだ、昼飯も食った。マイナス500円。




帰りの車の中で、そんな計算を必死にやっている私だった。

今まさに値上がりしつつあるガソリンを消費しながら・・・。
2016/11/20 09:00|二期TB:0CM:0

合コン大作戦!


年末も近づいた時期なのでそろそろ忘年会をしなくちゃいけないという話が持ち上がった。

私も立場上はもちろんであるが、参加して盛り上げたいところだ。

「本来ならお前が幹事をするべきなんじゃないか?」

ニコラス刑事は私にそういうのだが、そういう仕事は荷が重い。

前に一度やったことがあるが、酔っ払ってもいられないからつまらないのだ。

だいたいニコラス刑事に言われる筋合いではないと思う。彼は参加しないとはなから決めている。




・・・ケチだからだ。

忘年会とかの職場の飲み会というのは、基本的には人数でかかった金額を割り勘することになる。

大勢で割ればそれほどでもないのだが、彼はそれが気に入らないのだろう。

おおよそ職場の飲み会というものには付き合わない主義なのだ。



忘年会では女性たちの参加もあるというので少し楽しみにしていた。

若い後輩たちが、よく合コンなどという楽しそうな飲み会をしていることを聞いていたので、うらやましく思っていたのだ。

私は合コンというものを知らない。

たぶん男と女がグループで飲み会をするのだろうが、どんな会話をするのか非常に興味があるのだ。





私の頭の中は、合コン会場に集まった若い青年となって、お酒を酌み交わしていた。



男も女も各5人ずつ、長いテーブルの両側にそれぞれ並んでいる。

一見すると高級そうに見えるこの黒いテーブルの上には、色鮮やかな液体があちこちで花を咲かせていた。

おしゃれなバーだけに、普段飲みもしないカクテルなどを頼んでいるのだ。

カクテルの飲み方も知らない私はすでにベロベロに酔っていた。

向かいの席に並んだ5人の女性たちがみんなモデルさんのように美しく見えてくる。





「怒るでぇ、しかしぃ!」

司会者の横山やすしが人差し指でメガネを持ち上げる。

「さあ、それでは女性人からの質問です。はい、2番どうぞ」

「えーとぉー、みなさんに聞きまーす。私をどこに連れて行ってくれますか?」

彼女の少し飛び出た下唇がエロチックに濡れている。

「はい、じゃあ1番からどうぞ!」

1番の男は成績優秀な学生タイプだ。

「私は読書が好きなので、一緒に図書館へ行きたいですね」

なんとつまらない男だろう。これでは女の気持ちを引き寄せることは出来ないぞ。

「はい、わかりました。次、2番!」

1番の彼は体育会系のスポーツマンタイプだ。頭も角刈りにしている。

「オッス、自分はサッカーをやってるので、応援に来て欲しいッス。できればお弁当も作って欲しいッス」

うーん、これは微妙なところだ。女の子のタイプによるだろう。

「次、3番!」

この男が今回のメンバーの中で一番のイケメンだ。でも、それ以外に特徴はなさそうだ。

「僕は映画鑑賞が好きなので、一緒に観に行きたいです」

「どんな映画が好みですか?」

初めて彼女のほうから聞き返してきた。これは脈がありそうだ。

「えーっと、アクションものがいいです。ハルマゲドンとか・・・」

こいつはアホだ。女の子が好きそうな映画じゃないだろう。しかもタイトルも間違っている。

せっかくのイケメンがこれではアホ丸出しではないか!

彼女もちょっと困った顔をしている。




「あれは『アルマゲドン』でしょう!!」

西川きよしが目玉を大きくひん剥きながらつっこみを入れる。

「じゃあ次は4番」

隣の彼は見るからに陰気そうだった。メガネをかけてうつむいている。

私は5番の席に座っていた。そう、いつもオチを担当する役目だ。

お笑いだからといってバカにしちゃあいけない。一番興味を引く答えを出すことが大事なのだ。

「えー、4番の人。起きてますかーっ!」

なかなか喋らないものだから、きよしの催促が入る。

「は、はい、起きています」

「アホーっ!質問と答えが違うやないかい。正味の話!」

やすしが言うと、会場は大爆笑に包まれる。・・・これはまずい。

私の席5番はオチを担当されているのに、4番でこんなに盛り上がってしまったら答えようがない。

「んで、キミは彼女をどこに連れていってくれるのかな?」

「えーと、動物園に連れて行きます」

「なにが動物園やっちゅうねん、猿みたいな顔してからに!!」

やすしのつっこみは強烈だった。会場は最高に盛り上がっている。

爆笑の渦はなかなか収まらなかった。私の全身から嫌な汗が流れる。




も、もうだめだ。私がオチに用意していた答えなど、この最高に盛り上がった雰囲気にはそぐわない。


この状態では何を答えてもすべってしまうに違いないからだ。


何もいらないからこのまま帰してほしい。心からそう願った。


「はい、それじゃあ最後!5番の彼はどこへ連れて行ってくれるのかな?」


私はパニックに陥ってしまった。今から喋ることなど意味がないことを知っている。


それなのに、司会者はもちろん、会場全体が今以上のオチを期待して目を輝かせている。


私は服を脱いで踊り始めた。困ったときの江頭だ。


最初は大爆笑していた会場も、調子に乗ってズボンを脱いだ瞬間から悲鳴が響いた。


舞台の照明が消えた後、私は両脇を警備員に抱えられながら運ばれた。


警備員は私の代弁者となってに司会者にこう告げた。


「警察に連れて行きます」
2016/12/12 09:00|二期TB:0CM:0

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