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花粉症のおっさん


「最近、目が痛くって・・・」妻が心配そうに鏡を覗き込んでいる。

見ると目が充血しているようだ。

「花粉症じゃないかしら?」

そういえば、よく鼻をかんでいる。

私は花粉症というものには縁がないのでよくわからないが、かなりつらいという話を聞く。

鼻水が止まらなかったり、目がショボショボしたり、とにかく顔の辺りが嫌になるようだ。

今までかかったことない人も、突然になったりするというから安心してはいられない。

妻にも医者へ行くよう勧めたが、それほどひどいわけでもないらしい。



花粉症対策としては、マスクなどがあげられるが、かかってしまったら最後、治療するしかない。

鼻をスッキリさせるために「鼻うがい」というテクニックがあるという。

普通は口から水を入れて、のどでガラガラさせて吐き出すものだ。

「鼻うがい」とはいったいどんなものだろうか・・・。




私の頭の中は水の分子H2Oとなって、洗面器の中にあった。



洗面器に張られた私たちぬるま湯に塩が混ぜられてかき混ぜられる。

食塩というやつは困ったものだ。私たちに溶け込んで一体となろうとする。

私も必死で抵抗を試みるのだが、温められると弱いのだ。食塩の分子NaClが入り込んでくる。

あっという間に食塩水の出来上がりだ。

私は出来ることならこいつとは一緒になりたくなかった。

せっかくカルキで清められた身体が、食塩という物質を受け入れることによって、海水と同じになってしまう。

まるで、未来から原始時代へ逆戻りしてしまうような感じがするからだ。



洗面器に人間の顔が付けられた。

これはきたないおっさんだ。顔の表面に脂まで浮いている。

おっさんは鼻の穴から一気に私を吸い込む。



ゲホッ、ゲホッ、ウゲゲーッ!

ほうら、言わんこっちゃない。素人はこれだから困るのだ。

気を取り直したおっさんがもう一度私を吸い込む。今度はゆっくりだ。

すさまじい吸引力に身を任せ、私は鼻の穴の中をゆっくりと上ってゆく。

鼻腔の赤じゅうたんが私をどんどんその奥へ誘っているようだ。

鼻毛の密林を抜けるときに、私の身体がこすれてゆらゆらと揺れる。

なんかくすぐったいような、気持ちいいような不思議な感覚だ。

ゆりかごで揺られているような安らぎがあった。出来ることならずっとこのままでいたい。

そんな私の気持ちにおかまいなく、流れは止まることなくその奥へ続いてゆく。

赤じゅうたんの、生命力を表現するような激しい色のところに、時折アメーバーのようにへばりついた物質がある。

鼻水たちだ。

彼らはそこから剥がされまいと必死になっているのだが、弱いやつらは私と一緒になって流れの中に巻き込まれる。

私の身体の中の塩分濃度も急上昇する。




やがて鼻腔の頂点に到達すると、今度はくだりに変わる。

私は一気に喉の奥までそのスロープを駆け下りる。

赤いじゅうたんはどこまでも続いていた。私はそこを滑るように降りていった。

やがて、その途中で吸引の力がかからなくなった。喉の中腹でひとかたまりとなったのだ。



ガラガラガラ。

激しい音と強烈な振動が私を襲う。

ぐるぐると回転させられながら、喉の表面に付いた痰が剥がされてゆく。

(これ以上私にかまわないでくれ!)

塩分濃度の上昇よりも、異物の混入が私のプライドをずたずたに引き裂こうとする。




コロコロコロコロ。

音はさっきより高くなった。私の身体も高速回転を始める。

ああ、もう何がなんだかわからなくなってきた。




ほげーーっ!

洗面台に吐き出された私は、汚れた身体になっていた。

というよりも塩分濃度の上昇により、私の身体は痰に吸収されてしまっていたのだ。

しかし、私の最後の生き残りがまだおっさんの喉の奥に残っていた。それが最後の望みだ。





かーっ、ぺっ!!
2017/04/11 09:00|二期TB:0CM:0

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