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人間最後の日

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足田代

Author:足田代
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伝説のレスラー・ジャイアントこすぎ

私たち家族は、遠い町のショッピングセンターに足を運んでいた。

もちろん私は運転手として重要な任務を任されていた。しかし、目的地に着いてしまえば用済みだ。

妻と子供がショッピングを楽しんでいるのを横目に見ながら、いつしか一人旅に出る決意をしなくてはならない。

彼女たちが衣料品を見に行くと言ったところで、私は一人旅を余儀なくされた。



ふと通りがかった雑貨店の店先で、私は普段あまり目にしないものを見かけた。




虎
(がおー)


山と詰まれたシューズラックの上に、店番をするかのようにどっしりとかまえている。

これはまさに等身大の大きさだろう。値札もついていないから店の飾りかもしれない。

虎といえば一般に獰猛な動物というイメージがあるが、私にはそうでもない。

すぐに伝説のヒーロー、タイガーマスクを想像してしまうからだ。

タイガーマスクは悪の組織と戦い、ファイトマネーで孤児たちを支援していた。だからいいイメージがあるのだ。

そんなレスラーと実際に会ってみたい。いや、むしろ戦ってみたい。



私の頭の中は、伝説のレスラー・ジャイアントこすぎとなって、四角いリングの中にいた。



今日の相手はちょっと有名なヒーローだ。

しかし、私は今まで数多くの覆面レスラーと対決してきた。

所詮覆面を取ればみなかわいい顔をしているのだ。恐れることなどない。

私は、今は亡きジャイアント馬場師匠からその名をもらったほどの男である。

身長はその名に似合わず150センチそこそこしかないが、気持ちだけはいつもジャイアントだ。

タイガーマスクが覆面でその強さを誇示しようというのなら、私はその名で勝負してやる。さあ、かかってこい!


カーン!!


試合開始のゴングが打ち鳴らされた。


いくらタイガーが強かろうが、体の小さい私に動きでかなうはずがない。


私はたくみにロープを使い縦横無尽に走り続ける。アナウンサーは私の動きを「暴走列車」と叫んだ。


ビシッ!!


タイガーの平手が私の胸にぶち当たる。


もんどりうって倒れた私に、彼の強烈な足蹴りが加えられる。


そして、ロープを使っての彼の得意技であるタイガーツイストだ。つま先が腹にグリグリとめり込む。


「出たぁっ、必殺のタイガーツイスト!!ジャイアントこすぎ、万事休すかーっ?」


アナウンサーの声が一段と高まる。




しかし、私にはそんな攻撃など通用しなかった。


私には苦痛を快楽に変えるという素晴らしい特技があるからだ。


そう、私は生粋のマゾヒスト。痛めつけられるほどに喜びを増してゆく・・・。


もっと蹴ろ、もっと殴れ、私はそれを待っていたのだよ、タイガー!


いつまでも笑みを浮かべる私に業を煮やした彼は、私をつかんで高く持ち上げた。


そして肩に私を乗っけると、そのまま後方へ体ごと崩れ落ちた。


「決まったあ、タイガードロップ!」


アナウンサーも声を張り上げる。会場にも大きな歓声がこだまする。


今までにこんな気持ちのいいことがあっただろうか。痛みは脊髄を通って私の脳に快楽として伝達される。


これは最高の快楽だよ。さすがタイガー、お前になら私の名前をくれてやってもいいぞ。


ああ、あんまり気持ちよすぎて失神してしまいそうだ。





あ・、




カンカンカーン!!


試合終了のゴングの音が、口から吹いた泡のはじける音に感じながら意識は途絶えた。
2016/03/27 10:40|伝説のレスラーTB:0CM:0

伝説のレスラー(2) 燃える闘魂


テレビでアントニオ猪木のモノマネをする芸人が出ている。

「元気ですかーっ!」などの、お決まりの文句を武器にテレビに引っ張りだこのようである。

いつの時代も猪木のモノマネをする芸人は必ずいる。それはあの男に魅力があるからに相違ない。

かくいう私も、そんな彼の試合を真剣に見ていた一人である。

異種格闘技では、あのボクシングヘビー級チャンピオンとも戦って見せた。

その時に編み出された技が、アリキックと名付けられて彼の持ち技のリストに加えられてゆく。

次々と新しい技を取り入れてゆく姿こそ、みんなの憧れのヒーローなのかもしれない。


かっこよかった。それは誰よりもかっこよかった。


いつかそんな彼と戦ってみたいとさえ思っていた・・・。



私の頭の中は、伝説のレスラー・ジャイアントこすぎとなって、猪木に戦いを挑んでいた。



カーンッ!

ゴングが鳴って試合が始まる。いきなり猪木のビンタが私の頬を打つ。

目の覚めるような激しい音が脳みそにこだまする。ああ、気持ちいい。

私はお前の兄弟子、ジャイアント馬場師匠から名前をいただいた男。そう簡単にはやられないぞ。

続けざまに彼のアリキックが私の太ももに何度も突き刺さる。

「出たぁー、猪木のアリキック。異種格闘技であのモハメド・アリを苦しめた・・・」

リングアナウンサーも今日はやけに張り切っている。きっと猪木の完全勝利を確信しているのだろう。



しかし、私は苦しんでなどいないのだよ!


なぜなら私は生粋のマゾヒスト。痛めつけられれば痛めつけられるほどに喜びを感じる男。


さあ猪木よ、どんどん攻撃してくるがいい。私はむしろそれを望んでいるのだ。


業を煮やした猪木は、私をつかんで固め技に入る。

「おおっとぉ、これは卍固めの体勢だ。このまま決まってしまうのかぁー!!」

猪木の必殺技は完全に決まっていた。私の身体がギシギシと締め付けられてゆく。

レフェリーの山本小鉄が心配そうに何度も私を覗き込む。「ギブアップ?」

長い時間が過ぎても私は降参などしない。全身で快感を得ているような気分だ、ああ気持ちいい。

しまいに疲れ果てた猪木が組んでいた身体を引き離す。

かなり疲労しているようだ。名セリフ「しゃーこのやろ」も彼の息遣いが荒くなっている。



よし、今がチャンスだ!!

私は彼の手を取り、力任せにコーナーポストへ投げ飛ばした。

猪木は激しく背中を打ってぐったりしている。これでとどめを刺してやるぞ!

私は対角線上のコーナーから思い切りよく助走をつけて猪木に向かった。

「ジャイアント・こすぎの空中殺法かーーっ!?」

猪木の数メートル手前で、スピードにのった私の身体がロケットのように標的に向かった。

「ダイビング・ヘッドバッドーーッ!」


突き刺さる直前で猪木がスルリとかわす。私の頭はものすごい勢いでコーナーポストに激突した。



頭を押さえながらなんとか起き上がってはみたものの、意識はフラフラだ。


いくら私でも、これじゃあ脳の神経がおかしくなってしまう。快感を得る以前の問題だ。


ふと見ると、猪木が私に向かってなにか言っているようだ。


「布団をひいたから、ここで休むといいよ」


なんと優しい男だろう。敵に塩を送るとはこのことだ。


猪木よ、敵ながらあっぱれなやつだ。お前になら私の名前をくれてやらんでもないぞ。


私の目の前に柔らかな白い布団が用意されている。


ありがとう猪木よ。少しここで休ませてもらうか・・・。


横になった私に、猪木が優しく羽毛布団をかけてくれている。ああ、涙が出そうだ。


「ワン、ツー、スリー」


カンカンカンーーッ!!!



ゴングの連打で意識を取り戻した時に、私の身体の上でしゃくれた男が「しゃあ」と叫んだ。
2016/05/07 11:11|伝説のレスラーTB:0CM:0

伝説のレスラー(3) 異種格闘技

職場の休憩時間にメタボチックと話をしていた。

「シャコマンって何か知ってるか?」

私が聞くと、彼はしばらく考えてこう答えた。

「プロレスラーですよ」

「お前、適当なことばっか言ってんじゃねえぞ!」

私が笑いながら突っ込むと、彼はシャコマンがレスラーである可能性について語り始めた。

「エビボクサーってのがいるんですよ、知ってますか?」

「知るか、そんなもん」

人が知らないと思って適当なことばかり言いやがって・・・。

「映画であるんですよ、本当に・・・」

近くにいた500円貯金の彼に同意を求めると、彼もその存在を認めているようだ。どうやら本当らしい。

「イカレスラー、っていうのもいるんですよ」

イカのような覆面をかぶったレスラーが実在するらしいのだ。現役かどうかはわからない。

しかし、そんな不思議なレスラーが実在したとは驚きだ。彼の戦う姿を一度見てみたいものだ。



私の頭の中は、伝説のレスラー・ジャイアントこすぎとなって、イカレスラーと戦っていた・・・。




カーンッ!

今日の相手は人間じゃないぞ。足が十本あるヌメヌメしたイカが相手だ。

いったい誰が探してきたのだろう。マンガにだって出てこないようなキャラクターだ。

いくら私が強いからといって、これじゃ別な意味で異種格闘技ではないか。

「おおっと、イカレスラーの長い足が伸びたぞーっ!」

リングアナウンサーの声が会場に響く。

彼の十本の足のうち二本だけは長くなり、それを後ろへ回して反動をつける。

ピシッ!

私の身体は長いムチで叩かれて激しい音をたてる。

ピシッ、ピシッ、ピシッ!!

立て続けにムチが繰り出されるが、私にはまったく効きはしない。いや、むしろ気持ちいいのだよ。

なぜなら私は生粋のマゾヒスト。痛みをすべて快感へと変えてしまうことの出来る男。

さあ、もっと私をムチ打っておくれ。ああ気持ちいい・・・。



イカレスラーもさすが攻め疲れてきたようだ。今度は私の攻撃の番だ。

相手の胸めがけて思い切りよく平手打ちを食らわせる。これは馬場師匠から教わった技だ。

「師匠譲りの空手チョップ炸裂だぁー。これは効いているぞ!」

こう見えても私は、師匠であるジャイアント馬場から名前をもらった男。

相手がイカであろうが負けるわけにはいかないのさ。

もっとも私はお前の弱点も知っている。眉間の部分に空手チョップを一撃加えれば、とたんにお前は真っ白くなって倒れるはずだ。

師匠仕込みのから竹割りを食らわせてやるぞ!!



その瞬間、イカレスラーの姿が消えた。

やつらは擬態と呼ばれる姿を背景に似せる技を持っているのだった。

イカレスラーよ、いったいどこに消えたというのだ・・・。

キョロキョロ辺りを見回す私に、突然ヌメッとした感触がのしかかる。

マットに倒れこんだ私に、姿を現したイカレスラーが覆いかぶさってくる。

ブリッヂで交わそうとしたが、なにせヌメヌメして動けない。しかもやつの十本の足が全身に絡みついている。

まるでどこかのローションプレイのようにこそばゆく気持ちいい・・・。

しかも吸盤で私の皮膚を吸ってくるからたまらない。ああ・・・。



全身を十本足で縛られて動けない私の顔に、イカレスラーの口が近づいてくる。


びじゅぅーーーっ!!


なんとやつは墨を噴出したのだ。私の視界は完全に断たれてしまった。


これほどの屈辱があるだろうか。これじゃあまるで目隠しプレイだ!


吸盤に吸われた私の皮膚はおもちゃのようにペッタンペッタン音を立てている。


ああ気持ちいいぞイカレスラー。


今までこれほど私を喜ばせたやつはいない。お前になら名前をくれてやってもいいぞ・・・。


ああ、あんまり気持ちよすぎて失神してしまいそうだ。





あ・、




カンカンカーン!!


試合終了のゴングの音が、私の身体が吸われてゆく音に聞こえながら意識は途絶えた。
2016/05/21 19:45|伝説のレスラーTB:0CM:0

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